サッカーが上手になるための方法のひとつには、サッカーの動き方や周囲の状況を「わかる!」ということがあります。
練習でも試合でもどう動けばいいのか、周囲のどこを見ればいいのか、わからないままでサッカーをしていません?
こんな状況を解消するために、作戦ボードを使った練習を取り入れられることをおすすめします。
目次
サッカーのときの「動き」とは
集団で行うスポーツ、ラグビーにしろバスケにしろ、もちろんサッカーにしろ、それぞれの選手のプレー、動き方は、
個人個人が思うままにやっちゃったら収拾がつかなくなってしまいます。
ファーメーション(隊形)を組んで、役割を分担して、同じ方向性で、動き&プレーするのが集団スポーツの共通するところです。
サッカーでもドリブル、パス、カバーリング、スペースを埋めるためのポジションどりなど、それぞれのプレーに応じて動きますよね。
このプレーや動きは、個人が好き勝手にプレーしたり動いたりしていては、効果的な集団行動になりません、逆に集団にピンチを招いてしまうことになりかねません。
俺はドリブルがしたいんだ!とSBがピッチの中央方向へドリブルしてっちゃうのは危険ですし、
俺はオーバーラップするんだ!とCBが上がりっぱなしでは、もうサッカーになりません(笑)
集団で行うスポーツは周囲の状況に応じたプレーや動きをしなければならないんです。
周囲の状況とは、例えば、
- 味方選手の位置、距離、人数
- 味方選手のプレー、動き
- 相手選手の位置、距離、人数
- 相手選手のプレー、動き
- プレーしているエリア
などのことです。
このような状況の違いによって、プレーや動きは違うことがイメージできますでしょ。
サッカーの初心者さんの目指すところは、ボールコントロールです。キック、トラップ、ドリブルなどの基本技術を習得することです。
普段の練習でリフティングだったり、マーカーの間をドリブルしたり、相手から邪魔をされない状況でパスやシュートの練習を繰り返して、ボールコントロール技術を磨きます。
しかし、練習でのボールコントロールが上手にできるようになったとしても、サッカーの試合では練習のときのようなボールコントロールをするのは、難しいんです。
なぜかというと、サッカーの試合では相手が邪魔をしますし、味方選手と呼吸を合わせなければならないからです。
基本技術を習得できたら、サッカーの試合に応じた、相手からのプレッシャーや味方選手とのコンビネーションという周囲の状況に応じたプレーや動きができるようになることが必要になります(←ここらが中級者さんでしょうか)。
つまり、サッカーが上手くなるには、周囲の状況に応じたプレー、動きができるようにならないといけませんし、
この周囲の状況に応じたプレー、動きができるようになるためには、最初のほうで言いましたけど、
- 周囲の状況がみえている
- その状況でどんなプレー&動きが良いのか・悪いのか
この2つを「わかる」ということが必要です。状況の把握と判断するというサッカーの大事なスキルです。
この「わかる」(←状況の把握と判断するというスキル)を磨く方法のひとつが、作戦ボードを使った練習、トレーニングです。
このブログの過去記事でも紹介していますけど、作戦ボードを使う方法、アプリを使う方法など、
プレーや動き方をボードやアプリなど(地面でも良いですよ(笑))、目で見てイメージし、そのイメージをもってプレーしてみる、
また、このトレーニングを反復することで、見ること、イメージをもってプレーすることが鍛えられるんですね。
コーチなどの指導者から教えてもらうことが多いと思いますが、詰め将棋などのイメージで、一人で使えば自分で考えるということもできます。
ボールコントロールがある程度できるようになったら、実戦で有効なプレー、動きが求められるようになります、このレベルが中級者さんと言えるでしょう。
実戦でのプレー、動きは周囲の状況に応じて選択しなくてはならなくなります。
この周囲の状況を「わかる」ようになる練習、トレーニングが必要になるのですが、そのひとつが作戦ボードを使ったトレーニングがあり、僕はこの作戦ボードを使う練習の機会を確保されることをおすすめします。
なかなか難しいことですが、「俯瞰でみる」ということにも繋がりますよ。
作戦ボードを使ってイメージする
では、作戦ボードを使ってプレーそのものをイメージする、理解することの例をいくつか紹介してみます。
作戦ボードを使った練習だとお考え下さい。
例えば、SBのオーバーラップについて、下のケースではどちらが効果的でしょう。
↑SBがオーバーラップを狙っていますが、ボールを保持している味方選手が縦に進出しようとしています。
このときに味方選手を追い越していってボールをもらうという考えと、
↑同じ状況でボールを保持した味方選手は中央方向へ動こうとしています。このときにSBはオーバーラップする。
どちらのオーバーラップが効果的でしょうか?
2つのケースのオーバーラップの結果を確認してください。
↑味方が縦に行こうとしているタイミングでオーバーラップをしてしまうと、相手も対応してきて、味方にもSBにも対応できるという結果になりますので、この場合のオーバーラップはあまり有効ではないということになります。
↑ボールを保持した味方が中央方向へ進出しようとすると、相手マーカーも付いていきますのでSBのオーバーラップに対応できません。
図の白い枠がSBのオーバーラップが成功した後に使えるスペースになりますが、比べてもらえれば違いがわかると思います。
つまり、この2つのケースのオーバーラップは、ボールを保持した味方選手が中央に動いたときにオーバーラップすることが効果的ということです。
このことはオーバーラップするSBもボールを保持するMFも、また逆に、MFをマークしているDFも「わかる」ってことになっておいたほうが良いですよね。
SBのオーバーラップのは味方選手のプレー、相手の動きによってその有効性が異なるということになります。
作戦ボードを使ってシミュレーションするとこのようなイメージができます。
図が多くなってしまいますが、もう1ケース、くさび&ポストプレーについてイメージしてみましょう。
↑ポストになる選手にくさびを入れて、3人目の選手がゴールを狙うというシチュエーションです。
くさびはポストに目がけて入れるべきか、相手の間のスペースに入れるべきか、どちらが効果的でしょう。
くさびの入れ方による違いを確認してみましょう。
↑くさびをポストに目がけて入れた場合、ゴールを狙う選手は相手の間の狭いスペースで落としをもらうことになり、
スペースが狭いので相手も対応しやすいくさび&ポストプレーになります。
↑くさびを相手の間のスペースに向けて入れると、ポストはくさびを受けるためにポジションを移動(←パスをうけるために動くんです)します。
ポストが移動するのでポストをマークしている相手もポストに付いていかなければなりません。
そうすると、ポストと相手が移動した分だけ落としを受けるスペースが確保されますので、ゴールを狙う選手はチャンスが大きくなります。
図の白い部分を比較してもらえればスペースの広さが違うことがわかると思います。
つまり、このケースのくさびは相手の間のスペースに入れることが効果的ということになります。
これは単にくさびをポストの足元に入れるのか、ポストを移動させるくさびを入れるか、そのちょっとした違いだけなんです。
この違いを「わかる」状態にあるかどうかが、プレーや動きの質を変えるんですね。
このように、オーバーラップ、くさびという単純なプレーでも、効果的な方法を知っているかどうかで試合のときの使い方、動き方は変わることがお分かりいただけますよね。
わかっているかどうか、知っているかどうかがプレーの質に影響して、周囲の状況によってプレーや動きが変わるということを理解していくことが、サッカーが上手になっていく方法のひとつです。
このわかる、知っている、周囲の状況を把握するのに、作戦ボードを使った練習が効果的です。
比較的簡単なプレーの例えで紹介してみましたが、いかがでしょうか。
こんなときにおすすめ
先ほどの事例で作戦ボードを使った練習を取り入れようと思ってくださったならうれしく思います。是非おすすめしますよ。
でも、作戦ボートを使った練習ばかりというのはおすすめしません(笑)
例えば、雨や雷?雪?などでボールを使った練習ができないときのミーティングで作戦ボードを使った議論なんかはどうでしょう。
それぞれのチームのレベルに応じた作戦ボードの使い方ができれば良いのではないかと思います。
先ほどのオーバーラップやくさびのようにサッカーの試合での局面を共通理解しておくことにも使えそうですし、
練習メニューそのものの動き方をみんなで確認することでスムーズな練習の遂行にも使えると思います。
個人的なおすすめなのですが、怪我などをしてサッカーができない選手のトレーニングでも作戦ボードを使ってみてはいかがでしょ。
練習を見学するだけでも良いのですが、その練習を見学しているときに、作戦ボードを使って、練習してるチームメイトたちの動き方を観察してみるとか。
作戦ボードを使った練習をしようと思えば、チーム全体用でも選手個人用でも、いくらでも使い方はあると思います。
注意してもらいたいのは、作戦ボードを使う目的を「わかる」って使ってもらいたいです。
作戦ボードを使う練習をおすすめしているのではなく、考える力、周囲の状況を把握する力を磨くために、作戦ボードを使うということをおすすめしています。
考える力、把握する力を、作戦ボードを使って磨いてみてください。
まとめ
以上、今回はサッカーの練習に作戦ボードを使ってみてはいかがでしょう、ってことで紹介してみました。
サッカーが上手になっていくには、ボールの扱いだけではなく、サッカーの知能、知性も欠かせません。
ボールをある程度扱える初心者さんの段階を卒業して、中級者さん、またそれ以上のレベルを目指すのであれば、技術やフィジカルだけでなく、インテリジェンスも磨いていかなければなりません。
その考える力、見る力、認知する力を磨くトレーニングのひとつが作戦ボードを使って考えるというメニューです。
普段から意識して考えるということに取り組んでみてはいかがでしょう。
他のトレーニングと同じで、継続していけば、必ずサッカーの上達に役立ちますよ。
今回の記事が読んでくださった皆様のサッカーの楽しみにお役にたてればうれしく思います。
よかったら過去記事の<<サッカーの個人レッスンって効果があるのかな?>>もご一読ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。