サッカーのポジション「ウイング」は攻撃の花形ポジションで
ドリブル、クロス、シュートなどのプレーを求められます。
ただ、ウイングは、ピッチの両サイドにポジションをとりますから、
そのサイドによって利き足がどちらなのかがプレーに影響します。
今回はウイングと利き足について考えてみましょう。
目次
最近のウイングの傾向
まず、最近のウイングやサイドアタッカーと利き足の傾向をみてみましょう。
有名選手の実例からいろいろなことがわかると思います。日本人、外国人を混ぜ合わせてみてみます。
データを確保するためサイドバックも入れちゃいます。
右サイド
- 原口 元気:利き足(右)
- 酒井 宏樹:利き足(右)
- 本田 圭佑:利き足(左)
- D・シルバ:利き足(左)
- エムバペ:利き足(右)
- ロッベン:利き足(左)
左サイド
- 乾 貴士:利き足(右)
- 長友 佑都:利き足(右)
- 太田 宏介:利き足(左)
- ネイマール:利き足(右)
- アザール:利き足(右)
- マルセロ:利き足(左)
と、このようになりました。
担当するサイドと利き足が同じか違うかという見方ができると思いますし、
これらの選手のプレースタイルから利き足のメリット/デメリットがみえてくるかもしれません。
例えば、本田圭佑はミランに在籍していたときに右のウイングで試合に出場していました。
中村俊輔もときどき右サイドでプレーしてましたよね。本田も中村も利き足は左です。
この2人の選手がサイドでプレーするときに、深い位置まで切れ込んでいってセンタリングをするイメージがあります?
クロスを入れるときには、サイドから中へ切れ込んでクロスボール、
もしくは中に切れ込んでいってシュートを打つというイメージのほうが強くありませんか?
左サイドの乾やネイマールも同じようにイメージできますよね。
乾やネイマールが利き足ではない左足でクロスを入れるところを見た記憶がありません。
では、右サイドでの酒井宏樹、左サイドでの太田宏介をイメージしてみてください。
2人はよくそれぞれのサイドからクロスボールを入れることが多いですよね。
カットインしてシュートをするところはみたことがありません。
極めつけはロッベンです。クロスやセンタリングを入れている光景を思い浮かべることができません。
カットインしていってシュートしかしてなくないですか(笑)。
このように、ウイングやサイドアタッカーの利き足がどちらかによって、サイドでのプレーの傾向がつかめてくると思います。
ウイングと利き足の関係
ウイングの選手の利き足がプレーの傾向に現れてきます。
右ウイングが右利き、左ウイングが左利きという担当するサイドと利き足が同じ場合には、
ピッチサイドを縦に進出していき、深い位置からクロスを入れることが多くなります。
逆に右ウイングが左利き、左ウイングが右利きの場合には、
縦に進出していき深い位置からのクロスは利き足ではない足でボールをけることになるので少なくなります。
担当するサイドと利き足が逆の場合は、ネイマールやロッベンのように、
サイドからバイタルエリア方向へカットインしていき、フィニッシュに繋げるプレーが多くなります。
もちろん、ウイングではありませんが長友のように右サイドから利き足でない左足を使って深い位置からクロスを得意とする選手もいますが、
通常の傾向とするとこのようなことになります。
ウイングは特にサイドからの攻撃を担当するので、クロスやセンタリングも求められます。
このプレーにも利き足が影響します。
右サイドから右利きの選手がクロスを入れると相手のゴールから遠ざかっていくクロスボールになり(もちろん逆サイドも同じです)、
右サイドから左利きの選手がクロスを入れるとゴールに向かっていくクロスボールになります。
ゴールから遠ざかるボールが良いのか、ゴールに向かっていくボールが良いのかは、ゴール前の状況によりますよね。
ゴール前でクロスボールをヘディングシュートするとしたときに、
遠ざかるボールはバチンと叩いて強烈なシュートになりますし、
向かっていくボールはちょんと触ってコースを変えるシュートがしやすくなります。
このように、ウイングやサイドアタッカーの利き足がプレーの内容や試合の状況に影響する関係があるということになります。
メリットを試合で生かす
ウイングの傾向と利き足の関係を確認できましたら、そのメリット/デメリットを試合で生かしましょう。
最後に利き足に関する具体的なメリットとデメリットを確認しておきます。
縦へ進出しやすい
担当するサイドと利き足が同じ場合は、対峙する相手から離れた位置でボールを運ぶことになりますから、
ボールを取られにくくなります。
右サイドであれば、相手は自分の左側からアプローチに来ます(サイドですから右側から来られることはありません)。
自分はボールを右足で運ぶので、相手からはボールが遠い位置になるので、
ボールを取られにくいままでタッチライン沿いに縦に進出しやすくなります。
ただし、右利きの選手が左サイドでプレーした場合には、相手の近い位置でボールを運ぶことになるので、
ボールを取られやすくなり、デメリットとなるのです。
クロスの精度が上がる
担当するサイドと利き足が同じ場合は、縦へ進出しやすくなり、相手を抜いたりした後にクロスボールを入れることになりますが、
このときに利き足でキックすることになりますので、クロスボールの精度が良くなるはずです。
このこともメリットになりますね。
ただし、逆サイドのケースでは苦手な足でキックすることになりますので、精度が落ちるはずです。
これがデメリットになります。
逆の場合は中へ入ったあとが勝負
傾向の中でも説明しましたが、担当するサイドと利き足が違う場合には、
縦への進出が難しかったり、クロスの精度がイマイチになります。
ですが、内側(横)への進出や進出後で勝負できます。
サイドと利き足が違う選手が内側に進出したときに、ボールは利き足でプレーすることになりますので、
中へ切れ込んだ後のクロスやシュートの精度が上がります。
これもサイドと利き足が異なる場合のメリットであり、
逆にサイドと利き足が同じ場合のデメリットになるわけです。
この3つのメリットを試合に生かせば良いと思います。
右サイドの右利きウイングは、相手DFとがんがんに縦勝負していって、
相手のGKやCBがうんざりするくらい精度の高いクロスを入れてやったり、
ペナルティエリア内に侵入していって、マイナスのグラウンダーで絶対的なチャンスを演出したり。
右サイドの左利きウイングは、カットインからゴールに向かうクロスを放り込み、
また、カットインから強烈なシュートをおみまいしたりして。
ウイングと対峙するのは相手のサイドバックになりますが、
相手サイドバックは縦に行かれてクロスを入れられるのと、
中に切り込まれてシュートを打たれるのではどちらが脅威でしょう?
自分がサイドバックだったらどちらが嫌ですか?
ちょっと前のバルセロナのFWはCFがスアレス、右ウイングがメッシ(左利き)、左ウイングがネイマール(右利き)でしたよね。
あんな何でもありのスアレスが真ん中にいて、メッシもネイマールもガンガンに中に入ってきてシュートを狙われたらたまったもんじゃないですよ。
じゃシュート打たれるから中に絞って守ろうと思ったら、両SBのアウベスにジョルジ・アルバががんがんに縦に進出してくるし(笑)。
このようにメリット、デメリットを生かして、メッシやネイマールなどのプレーを参考にしながら、試合で活躍したいですね。
まとめ
今回は、ウイングと利き足について傾向や関係からプレーの内容を考えてみました。
ウイングにとって利き足がどっちが有利かと言えば、どちらとも言えないです。
ただし、それぞれのメリット、デメリットを踏まえて、それを生かしたプレーで試合で活躍できればいいと思います。
ベッカムのようなクロスボールの天才になるのか、
ロッベンのようなカットインから手の付けられないフィニッシャーになるのか、
「それはあなた次第です!」。
この記事がウイングやサイドアタッカーを目指す人たちの参考になればうれしく思います。
よかったら関連記事の<<ウイングとサイドハーフの違いを確認しましょう【サッカー】>>もご覧になってください。