サッカーのポジション「ボランチとアンカー」の違い

さあ、このブログでの「サッカーのポジションを覚えましょう」シリーズです!

今回は「ボランチ」と「アンカー」についての違いを確認しましょう。

以前にも説明しましたが、

サッカーのポジションが英語やポルトガル語、スペイン語などで呼ばれることが多くなってややこしくなってしまいました。

違いや役割が分かり、すっきりして、サッカーにますます興味が出てくると良いですね。

目次

ボランチとアンカーの違い

出典:https://en.as.com/

今回は結論から言います。

アンカーはボランチの一部です」

ボランチの役割の一部にアンカーという役割があります」

ということです。

以下、詳しく説明していきます。

 

ボランチはポルトガル語、アンカーは英語

まず、ボランチとアンカーの言語についてですが、

ボランチ(volante)はポルトガル語であり、ブラジルで守備的MFのことを指します。

アンカー(anchor)は英語なのですが、ブラジルの守備的MFであるボランチとは少し違う意味のようです。

ボランチもアンカーもポジションはMFですので、そのポジション名を英語とポルトガル語で比較しながら確認してみましょう。

 

まず、MF(ミッドフィルダー)は、(※ポルトガル語を「ポ語」と表記します)

  • 英語:「Midfielder」(ミッドフィルダー)
  • ポ語:「Meio Campista」(メイオ・カンピスタ)

↑となります。

 

MFには、役割によって呼び方が違うのですが、守備的MFのことを、

  • 英語:「Defensive Midfielder」(ディフェンシブMF)
  • ポ語:「Volante」(ボランチ)

↑でてきましたね!ボランチ!!

守備的MFのことを、ポルトガル語では、ボランチというわけですね。

 

そして、守備的MF=ボランチのうち、特に守備を専門に行う役割の守備的MFを、

  • 英語:「Holding Midfielder」(ホールディングMF)
  • ポ語:「Primeiro Volante」(プリメイロ・ボランチ)

↑というらしいのですが、

この英語のホールディングMFの別名が「Anchor」(アンカー)ということらしいのです!

 

私たちが、言語の違うサッカー用語をごちゃ混ぜにして使っていることで、こんがらがっているのではないでしょうか(笑)

しかもアンカーって別名って 涙

 

日本で使われているサッカーのポジション名、そのうち「ボランチ」と「アンカー」の言語についてみていくと、

守備的MFのことをボランチ(英語ではディフェンシブ・ミッドフィルダー)と言い、

そのボランチというポジションの役割のひとつに別名であるアンカー(実際はホールディング・ミッドフィルダー)があるということになります。

つまり、アンカーもボランチなんです。

厳密には、ボランチのうち、特に守備を専門的に行うボランチがアンカーということになります。

ボランチとアンカーについては、まず、このことを覚えておきましょう。

 

ちなみに、ボランチは「ハンドル」を意味し、アンカーは「錨」を意味します。

ハンドルは「操る」というニュアンスで、

錨は「固める・安定させる」というニュアンスで良いのではないでしょうか(←これは私の勝手な解釈です)。

 

ボランチとアンカーの特徴

ボランチとアンカーの特徴を確認してみましょう。

まず、ピッチ上、フォーメーション上でのボランチとアンカーの位置についてです。

大前提として、以下3つのフォーメーション図での「黄色い星印」は全てボランチです。

そのボランチのうち、特に守備を専門に行う役割のボランチがアンカーですということになります。

 

まずは、1ボランチのフォーメーションから。

↑ボランチを1枚配置したフォーメーションです。

MF陣の最後方、DFラインの前方、かつ、ピッチの中央にポジションをとるのがボランチです。

通常は、この1ボランチの配置をアンカーとは言いませんけど、

この1ボランチが、特に守備専門のプレーをする場合は、アンカーと呼ぶこともあります。

例えば、FCバルセロナのブスケツが、1ボランチでアンカーと呼ばれたりします。

 

次に、2ボランチの配置です。

↑やはり、MF陣の最後方、DFラインの前方、かつ、ピッチ中央に位置するのがボランチ。

この場合は2人のボランチを配置していますので、2ボランチ(ツーボランチ、ダブルボランチ、←日本語です笑)と言われたりします。

この2ボランチの場合でも、アンカーとは表現しないことが一般的ですが、

このうちの1人を、守備専門の役割を固定すれば、そのボランチをアンカーと言います。

 

アンカーが最もわかりやすいのが、次のフォーメーションです。

↑正直、あんまり見ない配置ですが、ボランチが3枚のケースです。

ボランチを3枚置いたときには、ボランチの最後尾にアンカーとなるケースがほとんどです。

2010年のW杯、日本代表が遠藤、長谷部、阿部勇樹という3ボランチを配置し、阿部がアンカーを務めました(監督の岡ちゃんはアンカーではないと言っていましたが笑)。

私見ですが、この3ボランチは、ほぼほぼ1ボランチのアレンジでして、

そのチームが、何人のMFを配置するのか、そのMFのうち何人に守備的MF(ボランチ)とするのか、

また、守備的MFにどんな役割を担当してもらうか、によって、アンカーが配置されるかどうかという違いなんですね。

 

つまり、ボランチとアンカーの特徴のうち、そのポジションについては、

MF陣の最後方に配置されるのがボランチで、

そのボランチの中でも、最も最後方に配置されるのが、アンカーということになります。

ですので、セルヒオ・ブスケツのように、1人の守備的MFですからボランチと言われますし、

また、MFの最後尾で、守備専門の役割を担当していますので、アンカーともいわれるわけです。

 

次に、ボランチとアンカーのプレーの特徴です。

この特徴は「役割」と重なりますが、違いを明確にするために確認してみましょう。

過去の記事<<サッカーがよくわかる「ポジションと役割」について解説します>>でも紹介していますが、

程度は違えど、どのポジションでも「攻撃」と「守備」を行わなければなりません。

MFは攻撃も守備もバランスよく、また、攻撃活動、守備活動の開始段階を担当することになります。

 

加えて守備的MFは攻撃的MFに比べて、文字通り守備に比重を置くプレーが特徴となります。

守備から確認したほうが分かりやすいと思いますので具体的にみてみましょう。

ボランチの守備の特徴

  • バイタルエリアの守備
  • ボールホルダーにプレッシャーをかける
  • DFが跳ね返したルーズボール回収
  • 相手MFとマッチアップ
  • 担当エリア(中央部)を重視し、安易にサイドに行かない(CBとの連係を重要視するため)
  • 相手MFから相手FW(特にCF)への縦のパス(くさび)を気を付ける
  • 相手のMFに突出した危険な選手がいた場合、マークする

 

ボランチの攻撃の特徴

  • 奪ったボールを確実に保持(味方へのシンプルなパス)
  • 攻撃の態勢を整えるためにFW、攻撃的MFフォロー
  • 攻撃の態勢を整えるためのビルドアップ
  • 前線へ進出し攻撃に参加

分かりやすく説明するのことが難しいですが、ボランチの特徴的な、頻度が高いプレーはこんな感じでしょうか。

その他で、攻守に忙しいポジションのため運動量が多くなることもボランチの特徴だと思います。

守備の特徴のうち赤い文字で示してある部分がアンカーのプレーの特徴です。

中盤の守備を担当するボランチのプレーの中でも特にアンカーに必要なプレーです。

ボランチとアンカーの特徴について、フォーメーション上のポジションとプレー上の違いをお分かりいただけるでしょうか。

ボランチとアンカーの役割

役割についても、ボランチの役割の一部を専門家としてアンカーが担当するということになります。

ボランチの役割

  • バイタルエリア、DFラインの前でのスペースの管理などの守備
  • DFとの連係による守備態勢の形成(DFのオーバーラップのカバーなど)
  • ボール奪取直後からの攻撃の組み立て

このように、攻撃でも守備でも組み立て、コントロールがチームでのボランチの役割になります。

アンカーはこのボランチの役割を満たしつつ、さらに細かい専門的な役割を担当することになります。

アンカーの役割

  • 守備的MFの中でも最後尾での守備
  • バイタルエリアの守備、特にボール奪取
  • 特にCBとの連係を綿密にし、バイタルエリアの中央部での守備

というのが、アンカーの役割になります。

繰り返しますが、MF陣の中でもバイタルエリアの守備を担当するボランチの中でも、よりCBの前で確実な守備を求められているのがアンカーということです。

 

アンカーの役割で補足をひとつ。

これまで説明したようにアンカーは位置を示したポジション(まぁ位置は分かるんですけど)という意味合いよりも、役割を示す意味合いが強いんです。

先ほどのフォーメーションの図で示したとおり、

1ボランチではアンカーとしての役割が強いですし、

2ボランチではどちらかの一人にアンカーの役割を固定したり、局面によって交代で行ったり、

3ボランチでは完全にアンカーの威力を最大限に活用しようとしている配置になります。

チームの戦術や作戦、監督の考え方などによってバイタルエリアでの守備やアンカーの取り扱いが変わるのです。

まとめ

今回はサッカーのポジション、ボランチとアンカーの違いについて解説しました。

先に結論を出したとおり、

ボランチの役割の一部にアンカーがあり、

アンカーとは特にMF陣の最後尾、センターバックの前方でバイタルエリアの中央部の守備を固める役割

のことを言います。

ポジションの呼称やサッカー用語が言語の違いなどによって分かりにくくなっていますが、

この記事で違いが分かってもらえればと思います。

 

この記事が読んでくださったみなさんのサッカーの楽しみにお役に立てればうれしく思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。