オリンピックのサッカーはなぜU23?歴史を振り返ります!

オリンピックのサッカー競技は、なぜ23歳以下(U23)という年齢制限が設けられているのでしょう?

サッカー以外の競技には年齢制限は設けられていないんですよね。

これには、世界のサッカーを統括する国際サッカー連盟(FIFA)と、

近代オリンピックを主催する国際オリンピック委員会(IOC)の利害関係が影響しているんです。

今回は、オリンピックのサッカー競技のU23のことについて、歴史を振り返ってみたいと思います。

現在のオリンピックのサッカー

2019年現在のオリンピックのサッカー競技の年齢制限のルールは、

「オリンピック開催年に23歳となる選手」

ということです。

2020年の東京オリンピックであれば、

2020年の誕生日で23歳になる選手が対象となりますので、1997年1月1日以降に生まれた選手ということになります。

オリンピックの開催年から23をひいてみると、U23の対象選手の生まれた年がわかります。

例えば、

2024年のオリンピックのU23は、2024-23=2001年以降に生まれた選手、

2000年に開催されたシドニーオリンピックのU23は、2000-23=1977年以降に生まれた選手、

ということになります。

 

U23の対象年以降の生まれであれば、制限はないようです。

2019年の日本代表のU23の代表選手でみてみると、

最も早く生まれているお兄さんなのが、1997年1月30日生まれの小島亨介(大分)で、

最も遅く生まれている末っ子が、2001年6月4日生まれの久保建英(マジョルカ)です。

 

オリンピックのサッカーの年齢のルールに「オーバーエイジ」というものがあります。

これは、23歳以上の選手のことを指していて、

オリンピックに出場する各国3人まで、オーバーエイジの選手の出場を認めています。

これまでの日本代表を振り返ってみると、

2016年のリオオリンピックのオーバーエイジは、藤春廣輝、塩谷司、興梠慎三の3人、

2012年のロンドンオリンピックのオーバーエイジは、徳永悠平、吉田麻也の2人、

2008年の北京オリンピックはオーバーエイジを選出しませんでした。

このように、選出しなくても良いんですが、オーバーエイジを3人選出しても良いというルールになっています。

 

年齢制限のルールとはちょっと違うんですが、

オリンピックのサッカー競技の登録人数は18名となってて、うち、GKは最低2人(2人以上でOK)というルールもあります。

GKを2人選出したら、フィールドプレーヤーは16人ということになります。

FIFAが主催する国際大会は、通常23人という登録人数なんですけど、

オリンピックのサッカーの登録人数は、少ないですよねぇ。

ワールドカップでもオリンピックでも、大会の試合数は、最低3試合、決勝まで進出すると6~7試合をするんですけど、

やはり、18人という登録人数は少ないと感じます。

 

他にも、細かいルール設定はあるんですけど、

これらが、現在のオリンピックのサッカーは、

  • 23歳以下(U23)
  • オーバーエイジは3人まで
  • 登録人数は18人(うち2人はGK)

というルールが設定されています。

なぜ、このような設定になっているのでしょう。

特に、U23というルールは、オリンピックの競技種目の中で、サッカーだけのルールです。

次で、なぜU23なのかを探ってみます。

U23となった経緯

なぜ、オリンピックのサッカーはU23というルールが設定されているのか。

結論から言いますと、FIFAとIOCの利害関係によるルール設定だと思われます。

オリンピックとワールドカップサッカーの歴史を振り返りながら、ルール設定の経緯をみてみましょう。

 

近代オリンピックが開催された1900年頃には、サッカーの本場欧州では選手のプロ化が広がりつつありました。

当初、サッカーはオリンピックの競技でしたが、

オリンピックは「アマチュア主義」の大会であったため、

IOCとFIFAがオリンピックのサッカーについて対立する構図にありました。

 

1930年、FIFAが第1回サッカーのワールドカップを開催しました。

このサッカーのワールドカップは、プロであろうがアマチュアであろうが、参加できるサッカーだけの大会です。

このワールドカップが成功し、サッカーの人気が広がりをみせ、ワールドカップの人気が定着していくことになりました。

 

すると、「アマチュア主義」を徹底していたオリンピック側が、

1970年代になり、「オリンピック憲章」からアマチュア規定を削除し、事実上プロ選手の参加を解禁しました。

1984年のロスアンゼルスオリンピックからプロ選手の出場が認められるようになりました。

 

ところが、このIOCの動きに反発したのが、サッカーのFIFAで、

プロのサッカー選手がオリンピックに出場することで、サッカーのワールドカップの価値が下がるのではないかと危惧したわけです。

IOCは、プロ選手の出場を促すことでオリンピックを更に盛り上げたい、

FIFAは、プロの選手がオリンピックに出場することで、ワールドカップの価値が薄まるかもしれない、

という、利害関係の対立があったということになります。

 

そして、1984年のロスアンゼルスオリンピックでプロのサッカー選手の出場が認められたのですが、

オリンピックに出場できるプロ選手は、

サッカーのワールドカップの予選、本大会に出場したことのある選手、以外の選手

ということになりました。

 

このようなIOCとFIFAが、せめぎ合いを繰り返してきた歴史の中で、

1992年のバルセロナオリンピックから採用されたのが「23歳以下」「U23」というルールなのです。

プロのサッカー選手に出場してほしいIOCと、

プロのサッカー選手を出場させたくないFIFAの、「妥協案」だと言えます。

このバルセロナオリンピックのサッカー競技で金メダルを獲得したのは地元のスペインで、その中心選手がグラルディオラ(現マンC監督)やルイス・エンリケ(元スペイン代表監督)でした。

 

しかし、このU23のサッカー競技で、IOCが見込んでいた観客数に届きませんでした。

そこでIOCはFIFAに対し、A代表の出場を要請しますが、FIFAはこの要請を拒否します。

サッカー競技でオリンピックの価値を高めたいIOCと、

ワールドカップなどのサッカーの国際大会の価値を守りたいFIFAのせめぎ合いは続き、

1996年のアトランタオリンピックから、「オーバーエイジ」が採用されることになります。

日本が「マイアミの奇跡」を起こしたオリンピック。対戦相手のブラジルにはオーバーエイジとして1994W杯優勝メンバーのアウダイール、ベベトの2人、また、当時のブラジルのエース格リバウドの3人を選出していました。

 

このような歴史、経緯をたどって、現在のオリンピックのサッカーに至っています。

つまり、なぜ、オリンピック競技の中でサッカーだけが年齢制限のルール設定があるのか、

それは、サッカーでオリンピックの価値を高めたいIOCと、

サッカーの世界大会の価値を守りたいFIFAの、利害関係の結果だということです。

なぜ、オリンピックのサッカーはU23なのか、

  • オリンピックの価値を高めたいIOC
  • サッカーの国際大会の価値を守りたいFIFA
  • IOCとFIFAの妥協案

↑これが、サッカー競技だけに年齢制限のルールが設定されている理由です。

 

ちなみに、FIFA側からすれば、サッカーの国際大会を、

  • ワールドカップ
  • オリンピックのサッカー競技(U23)
  • U21ワールドカップ(旧ワールドユース)
  • U17ワールドカップ

という、区分けにして、オリンピックのサッカーを年代別大会のカテゴリーとして運営する意向もうかがえます。

サッカーの世界最高の大会はFIFAワールドカップであり、オリンピックは年代カテゴリーの世界大会ですよというものです(笑)

 

さらに、女子サッカーについては、FIFAワールドカップもありますけど、

オリンピックのサッカー競技を1996年のアトランタオリンピックから正式種目にしています。

が!女子には年齢制限のルールはありません、なぜでしょう(笑)

オリンピックのサッカーを時系列でまとめます

これらの、U23ルールを設定に至るまでのオリンピックのサッカー競技を、時系列でまとめてみます。

U23ルール設定に至るまでの歴史、また、サッカーの出来事などを確認しつつ、

オリンピックのサッカーについて把握できればと思います。

 

1896年:第1回オリンピック(サッカーは非開催)

1900年:第2回オリンピック(サッカー競技実施)

※オリンピックのサッカーはアマチュア選手のみ出場

1930年:第1回サッカーW杯開催

1936年:第8回ベルリンオリンピック(ベルリンの奇跡)

※日本代表オリンピック初出場、強豪スウェーデンを破り「ベルリンの奇跡」を起こす

1956年:第11回メルボルンオリンピック(日本2度目の出場)

1964年:第13回東京オリンピック(日本ベスト8)

1968年:第14回メキシコオリンピック(日本銅メダル)

※日本代表がサッカーの世界大会で初のメダル獲得

1984年:第18回ロサンゼルスオリンピック(プロ選手解禁

※プロ解禁のロサンゼルスオリンピックに出場した有名サッカー選手は、

  • ドゥンガ(ブラジル)
  • ブッフバルト(西ドイツ)
  • ブレーメ(西ドイツ)
  • バレージ(イタリア)
  • マッサーロ(イタリア)

などがいます。

1992年:第20回バルセロナオリンピック(U23ルール設定

1996年:第21回アトランタオリンピック(オーバーエイジルール設定

※日本代表が「マイアミの奇跡」を起こす

2012年:第25回ロンドンオリンピック(日本4位)

2020年:東京オリンピック開催予定

 

以上、オリンピックのサッカーの出来事を時系列でまとめてみました。

第2回のオリンピックからサッカー競技が実施されていますけど、

1984年の約80年間は、オリンピックのサッカーはアマチュア選手が出場できて、プロのサッカー選手は出場できませんでした(←FIFAワールドカップ開催の1930年まではこのルールが不透明なところもありますが)。

日本代表は、1936年に「ベルリンの奇跡」を起こし、

1964年の東京オリンピックでベスト8、1968年のメキシコオリンピックで銅メダルを獲得していますけど、

この時代のオリンピックのサッカーは、海外のプロの選手は出場していないんですよね。

まぁ価値がないとは言いませんけど、評価の分かれる部分ではないかと思います。

 

1992年にU23のルールが設定され、

1996年にオーバーエイジのルールが設定されて、現在に至っていますので、

FIFAの思惑どおり、年代カテゴリーの世界一決定戦が、オリンピックのサッカーという位置づけになるかと思います。

来年の東京オリンピックでの、日本代表の活躍にも期待したいですよね。

まとめ

以上、今回は、オリンピックのサッカーは、なぜU23なのか?について紹介しました。

「IOCとFIFAの利害関係」によるルール設定

が、U23、およびオーバーエイジルールの理由です。

この利害関係は今後も続くことが予想されますので、

女子のサッカー競技の含めて、新たなルール設定があるのかもしれません。

ま、それでも、U23日本代表の日本代表、なでしこを応援することには変わりありませんけど(笑)

 

今回の記事が読んでくださったみなさんのサッカーの楽しみにお役に立てればうれしく思います。

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