サッカーの戦術の歴史を簡単に紹介します

サッカーが現在のルールで行われるようになったのは今から約150年ほど前のことです。

これまでの間にサッカーの戦術はその時代ごとのトレンドを経ながら、変化、進化してきたわけです。

戦術の変化、進化はサッカーの歴史でもあるわけです。

そこで今回は、サッカーの戦術の歴史を振り返ってみたいと思います。

目次

サッカーの戦術について

出典:https://www.independent.co.uk

これまでにこのブログでサッカーの戦術や戦術に付随するフォーメーションなどについて記事にしているんですけど、

サッカーの戦術とはフォーメーション(隊形・選手の配置)やシステム(体系・仕組み)などを含めると膨大な量になってしまいます。

戦術を理解していくには、本質から覚えていくと簡単です。

サッカーの戦術の基本は、

  1. 守備の戦術(方法、手段)
  2. 攻撃の戦術(方法、手段)

の2つであって、この攻守の戦術を合わせて「試合の戦術」となります。

試合の戦術には、基本的に「ポゼッションサッカー」か「リアクションサッカー」という2種類しかないわけですけど、

サッカーの歴史の中で、新しい戦術が発明?されたときに、サッカー戦術に名称がついたりするのです。

例えば、

  • カテナチオ
  • トータルフットボール
  • ゾーンプレス
  • ティキ・タカ
  • ゲーゲンプレス

などがそうです。

これらは実施されるサッカーのスタイルを示した名称で、試合の戦術としても認識されているわけです。

これらの戦術には、当然、守備の戦術、攻撃の戦術が設定されています。

サッカーの歴史の中でも、サッカーの戦術の歴史に焦点を当てて振り返りますけど、

その際に、この守備の戦術や攻撃の戦術などの構成も踏まえながら、振り返ってみることにします。

サッカーの歴史について興味のある方はこちらの記事も目をとおしてみてください。

W杯からフォーメーションの歴史を調べてみました【サッカー】

日本のサッカーの歴史は浅いって、それ本当ですか?

サッカーの戦術の歴史

サッカーの戦術を振り返るにあたって、僕が実際に観たことのない大昔のサッカーのことについては、わからないので振り返りようがありません(笑)

ここでも、僕が実際に観たことがある時代のサッカーからとさせていただきますm(__)m

1960年代以前のサッカーはちょっとわからないので、この記事のサッカーの戦術を1960年代のカテナチオからとさせていただきます。

ちなみに、これから紹介するサッカーの戦術名は、メディアなどが名付けた造語ですが、戦術やスタイルを表す名称として認知されていますので、戦術名に使わさせていただきます。

カテナチオ

年  代:1950~1960年代

戦  術:堅守速攻

守  備:マンツーマン、リトリート

攻  撃:ロングカウンター

フォーメ:5-3-2、4-3-3

システム:リベロシステム

チ ー ム:インテル、イタリア代表など

カテナチオとは1950~1960年代にイタリアで流行したサッカー戦術。

特徴的なのは守備の戦術で、相手FWをDFがマンツーマンでマークし、ディフェンスラインの最後尾に相手をマークしないDFを1人配置するというシステム。

マンツーマンディフェンスを突破してきた相手FWをリベロが対応して守るという狙いなんです。

相手FWが4人のときにはマーカーを4人+リベロ1の5人のDF、相手FWが3人のときには3人のマーカー+リベロ1の4人のDFという形になり、フォーメーションを形成します。

サッカーに詳しい方は、リベロというとベッケンバウワーを連想され、DFでありながら攻撃にも参加するというイメージをもたれるかもしれませんが、

このカテナチオのリベロは守備オンリーです。日本ではスウィーパーというイメージですね。

カテナチオを採用した代表的なチームは、1960年代のインテルがそうで、1964年、1965年のUEFAチャンピオンズリーグを連覇。

64年はサッカー界のレジェンドであるディ・ステファノ、プスカシュ擁するレアルに、65年はやはりレジェンドであるエウゼビオのベンフィカに勝利しています。

また、1982年スペインW杯で優勝したイタリア代表は5-4-1というフォーメーションでした。

ベルゴミ、ジェンティーレといった強烈なマーカーの後方に、伝説のリベロ、ガエタノ・シレアを配置して、攻撃はコンティ、ロッシを中心にしたロングカウンターで、

アルゼンチン、ブラジル、ポーランド、西ドイツを撃破し優勝。

カテナチオは1960年代の後半には消滅したとされていましたが、このときのイタリア代表は正しくカテナチオ戦術でしたね。

トータルフットボール

年  代:1970年代

戦  術:ポゼッションサッカー

守  備:プレッシング(ハイプレス)

攻  撃:ポゼッションサッカー

フォーメ:4-3-3

システム:ポジションチェンジ、ハイライン

チ ー ム:アヤックス、オランダ代表など

1970年代にアヤックス、オランダ代表で用いられた戦術。

選手がポジションを固定してサッカーの役割を分担するというそれまでの一般的なサッカースタイルではなく、

攻撃のためのスペースを作りそのスペースを活用するために、選手が次々にポジションを変えていくというスタイル。

守備は高い位置でボールを奪いたいため、プレッシングとハイライン戦術、

攻撃はスペースを活用するためにショートパスを多用するポゼッションサッカーの戦術で、スペースを活用するという考えからサイド攻撃も多いというスタイル。

選手たちが次々にポジションを変えるためポジションやフォーメーションは固定されていないとのことですけど、当時のアヤックスやオランダ代表を振り返ってみると、一応4-3-3を多用。

このトータルフットボールという戦術はアヤックスの監督であったルイス・ミケルスが採用し、神レジェンドであるクライフが体現したと認知されています。

1969~1973年のUEFAチャンピオンズリーグの決勝には、5年連続でオランダのクラブが進出し4回優勝しています。

特にアヤックスは1971~1973年を3連覇しており、監督がミケルス、中心選手がクライフ、そして戦術がトータルフットボールということです。

この戦術は、その後のサッカー界に凄まじい影響を与え、その後の戦術の基礎となります。

日本代表監督を務めたオシムの「走るサッカー」もその基礎はこのトータルフットボールです。

なお、この戦術を成功させたミケルス自身は「プレッシング・フットボール」と言っていたようです。

ゾーンプレス

年  代:1980~1990年代

戦  術:堅守速攻

守  備:ゾーンディフェンス、プレッシング(ハイプレス)

攻  撃:ショートカウンター

フォーメ:4-4-2

システム:フラット&ハイライン(DFからFWまでの選手間の距離を短く固定)

チ ー ム:ACミラン

1980年後半から1990年初頭にACミランが用いた戦術。

ゾーンディフェンス、プレッシングという守備戦術からゾーンプレスと呼ばれるようになった造語。

ディフェンスラインをフラットに並べ、ハイラインを採用することで、DFからFWまでの距離を短くする、

そうすることで選手間の距離が一定に保たれ、またその距離を保ったまま集団(コンパクトな隊形)で移動するため、

相手ボールホルダーに対し数的優位を作りやすくなり、ボールを奪うためのプレッシングの威力を高めるという守備の戦術。

ボールを奪った位置から素早く攻撃するので攻撃の戦術はショートカウンター。

フォーメーションは4-4-2でした。

ACミランの監督であったアリゴ・サッキが採用して、バレージ、マルディーニ、ライカールト、ファンバステンなどの活躍によって、1990年前後に大成功しました。

トータルフットボールと似ていますが、このゾーンプレスは相手のボールを奪うことを目的とした戦術と言えるでしょう。

しかし、ゾーンプレスはトータルフットボールから発展したと言って良いでしょう。

特にプレッシングという守備戦術を強力にしたと言えるのではないでしょうか。

ティキ・タカ

年  代:1990年~

戦  術:ポゼッションサッカー

守  備:ポゼッションサッカー、ハイライン

攻  撃:ポゼッションサッカー

フォーメ:4-4-2、4-3-3

システム:フラット&ハイライン(DFからFWまでの選手間の距離を短く固定)、ボランチ(アンカー)

チ ー ム:FCバルセロナ、スペイン代表

1990年代から現在まで続くバルセロナやスペイン代表が用いるサッカー戦術。

ポゼッションサッカーを説明するのはかなり難しいんですが、できるだけ簡単に言うと、

ショートパスを繋ぎながらボールを保持することで、攻撃の時間を長くして攻撃するというスタイルであり、

ボールを保持する時間を長くすることで、守備の機会を少なくしようという守備のスタイル、

この攻守一体となるのがポゼッションサッカーの特徴です。

1990年代のトータルフットボールの体現者であったクライフが、FCバルセロナの監督を務め、細かいパスワークを用いたサッカーで成功しました。

その後、スペイン代表にも用いられ2008年のEURO、2010年のW杯優勝に繋がっていきます。

クライフの後のバルセロナではファンハール、ライカールトとこのショートパスを用いたポゼッションサッカーを継承し、現代の名将グラルディオラの代名詞になっています。

このティキ・タカも、トータルフットボールの影響を受けているのではないでしょうか。トータルフットボールの体現者であるクライフから始まったと考えれば。

ショートパスの多用とそのためのポジションチェンジは、トータルフットボールの特徴をさらに進化させたものだと思います。

現在の戦術へ

トータルフットボールの特徴であったプレッシング、ショートパスは、

アリゴ・サッキによるゾーンプレスで強力なプレッシングサッカーに発展し、

クライフのバルセロナの実践により、進化したパスワークによりポゼッションサッカーに発展してきました。

トータルフットボールが、世界のサッカーにどれだけ影響してんだということがうかがえますね。

そして、現在のサッカーは、このプレッシングサッカーとポゼッションサッカーが、サッカー戦術のスタンダードになっているんです。

ポゼッションサッカーの戦術を用いるのは、ティキ・タカを発展させたと言って良いグアルディオラ、

プレッシングサッカーの戦術を用いるのは、ゲーゲンプレスのクロップや、リトリートでのプレッシングで成功したあのモウリーニョ。

考えてみれば昔からそうなのかもしれませんが、サッカー戦術はポゼッションサッカーとリアクションサッカーの2種類であり、

ポゼッションの最先端がティキ・タカ、リアクションの最先端がプレッシングを用いたショートカウンター、ロングカウンターということになると思います。

まとめ

以上、今回はサッカーの戦術の歴史というテーマで、サッカー戦術を紹介してみました。

それ以前も戦術はあったんでしょうけど、僕が知っているのはカテナチオ以降で、

トータルフットボールという戦術が発明?確立?成功?されたあとのサッカーの戦術は、これがモデルとなって進化してきたということになります。

ポゼッションサッカーとリアクションサッカーという戦術は、サッカーの本質でしょうからこのスタイルはこれからも続いていきます。

その戦術を用いしのぎを削るグラルディオラやモウリーニョ、クロップなどの監督、またこれから新しい戦術を開発する新しい監督の出現があるのか、興味のあるところです。

今回の記事が読んでくださった皆様のサッカーの楽しみにお役にたてればうれしく思います。

よかったら過去記事の<<難しく考えないで、サッカーの戦術の種類って基本2つなんです>>もご一読ください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。